シオヤトンボが舞う春の湿地で水生生物調査

春の湿地で水生生物調査を行いました

今回、湿地の水路と田んぼで、水生生物の調査を行いました。

春らしいあたたかな一日で、さまざまな生きものの姿や声を感じることができました。


春を感じる湿地のようす

この日は、生きものたちが活動を始める、春らしい雰囲気が感じられる日でした。
湿地では、シオヤトンボがたくさん飛び回っていました。  

また、近くの水田にはスズメがやってきて、巣づくりのためなのか、泥を集める様子も見られました。

水辺では、カエルの卵塊を探しましたが、今回は見つかりませんでした。その一方で、シュレーゲルアオガエルの鳴き声が聞こえてきました。一度に3方向から鳴き声が聞こえてきたので、少なくとも3個体はいるようです。湿地での繁殖に期待したいです。  


水田や水路で見られたヤゴたち

水生生物の調査では、田んぼの中だけでなく、水路にも多くのトンボの幼虫(ヤゴ)が見つかりました。  

調査では、オニヤンマのヤゴは流れのある水路で多く見つかり、シオヤトンボのヤゴは田んぼの中で多く見つかるという、はっきりとしたちがいが見られました。

オニヤンマのヤゴが水路に多い理由

オニヤンマのヤゴは、水がゆっくり流れている場所を好むヤゴです。流れがあることで水の中に酸素がたくさんふくまれ、体の大きいオニヤンマのヤゴでも呼吸しやすい環境になります。

また、水路は、小さな水生昆虫や流れてくるエサが多く、オニヤンマのヤゴにとってくらしやすい場所になっているようです。そのため、今回の調査でも、流れのある水路でオニヤンマのヤゴが見つかったのかなと思います。

シオヤトンボのヤゴが田んぼに多い理由

一方、シオヤトンボのヤゴは、水の流れがほとんどない、しずかな水辺を好みます。田んぼの中は、水の流れが弱い、水温が上がりやすい、稲や水草などかくれる場所が多い、といった特徴があり、シオヤトンボのヤゴが成長しやすい環境のようです。

オニヤンマのヤゴと同様、成虫になるまでには冬を越す必要がありますが、シオヤトンボは春一番に羽化する種類のひとつであるため、春先に水が枯れない安定した湿地環境が不可欠と言われています。このことからも連光寺東谷戸の湿地はシオヤトンボにとっても貴重な棲息場所になっていると思われます。

また、今回シオヤトンボのヤゴは水路でも見つかりましたが、これは、湿地や田んぼの水がしみ出して水路につながっているため、ヤゴが水の流れにのって移動したり、行き来したりしている可能性もあります。このことから、田んぼ・湿地・水路がつながっていることが、トンボたちのくらしにとってとても大切だということが分かります。

見つかった主な水生生物

今回の調査で確認できた主な生きものは、次のとおりです。

  • オニヤンマのヤゴ
  • ヤマサナエのヤゴ
  • シオヤトンボのヤゴ
  • ホトケドジョウ
  • サワガニ
  • カワニナ


また、調査中のまわりでは、ヒメウラナミジャノメ、ナミアゲハなどのチョウも飛んでいました。  

水辺だけでなく、草地や畑など、いろいろな場所が生きもののすみかになっていることが分かります。


珍しく見つかった「ケラ」

今回、ケラが見つかったことも、少し珍しい出来事でした。

ケラは土の中で生活する昆虫で、前あしがシャベルのような形をしている地面を掘るのがとても得意といった特徴があります。

ケラは泳ぐことも飛ぶこともできる!

この日は水路を泳ぐ2匹を発見しました。

ケラは土の中に住むイメージが強いですが、実は 泳ぐことも、飛ぶこともできる とてもユニークな昆虫です。大雨などで土の中が水につかると、水の中を泳いで移動することができます。成虫になると、羽を使って飛ぶこともでき、夜に明かりへ飛んでくることもあります。

このように、土・水・空の環境を行き来できるため、湿地や水田のように、いろいろな環境がつながっている場所は、ケラにとって暮らしやすい場所だと考えられます。

今回ケラが確認できたことは、この湿地の環境が多様な生きものを支えていることを示す、

大切な発見のひとつでした。


水辺に集まる鳥たち

調査中、湿地にはカルガモが2羽見られ、シジュウカラがさえずり、やぶの中ではウグイスが鳴いていました。水辺にエサがあり、安心して過ごせる場所であることが分かります。鳥にとっても、この湿地が大切な場所であることを実感しました。


たくさんの人が参加しました

今回の水生生物調査には、さまざまな年代の方が参加しました。

  • 大人:6人
  • 高校生:1人
  • 多摩大附属聖ヶ丘中学の学生さん:12人、先生:1人
  • 多摩市立聖ヶ丘中学校の学生さん:2人、 先生:1人

みんなで協力しながら生きものを探し、見つけたことを共有することで、湿地の自然について学ぶよい機会になりました。

生きものを守るために

今回の調査を通して、湿地や水田、水路がつながることで、多くの生きものが暮らしていることが分かりました。  

こうした場所を大切に守っていくことは、未来の自然を守ることにつながります。

これからも、調査や観察を続けながら、湿地の生物多様性について学び、大切な湿地を守っていきたいと思います。

第20回水生生物調査

講 師:東京都環境公社 東京都環境科学研究所 研究員 西田 一也
日 時:2026年4月26日(日) 13:00~16:00
場 所:連光寺・若葉台里山保全地域内の湿地
協 力:多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校自然科学部、多摩市立聖ヶ丘中学校自然探求部
参加者:大人 8人、高校生 1人、中学生 14人
内 容:水温等の環境測定,水生生物の個体数調査


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